摩耗損傷

摩耗、エロ―ジョンの模式図

摩耗による寿命診断

設備の寿命を左右する要因ひとつが「摩耗」です。
摩耗は、これまでの損傷と比べるとイメージしやすく、
もの同士がこすれたり、ぶつかったりして削れていく現象です。

摩耗とは何か

摩耗には大きく2つのタイプがあります。

① 接触による摩耗(いわゆる“すり減り”)
部材同士が接触して動くことで、表面が少しずつ削れていく現象です。
たとえば、
• 軸と軸受
• バルブのシート部
• 歯車
など、機械の多くの部分で起きています。
これはまさに、「こすれることで材料が減っていく」という損傷です。

② エロージョン(衝突による摩耗)
もう一つは、流体中の粒子や水滴などが衝突して削るタイプです。
• 蒸気中の水滴
• 流体中の固体粒子(砂、スラッジ)
などが高速でぶつかることで、材料表面が削れていきます。
これは「エロージョン」と呼ばれ、ぶつかり続けることで削られる摩耗と考えると分かりやすいです。

摩耗も「材料が減る」損傷

摩耗の本質はシンプルで、
材料の表面が削られ、肉厚が減っていく
という点では、腐食と非常によく似ています。
そのため、寿命の考え方も基本的には同じです。

① 均一摩耗
全体がほぼ均一に減っていくタイプです。
この場合、
• 摩耗速度がある程度一定
• どこも同じように減る
ため、減肉量(mm/year)から寿命を比較的容易に予測できるという特徴があります。

② 局部摩耗(不均一摩耗)
一方で、問題になるのは局部的な摩耗です。
• 流れが当たる一部分だけ削れる
• 接触条件が偏っている箇所だけ摩耗する
といったケースです。
この場合は、一番削れた部分が寿命を決めるという点も、腐食と同じです。

摩耗の寿命評価の考え方

摩耗の寿命評価も基本はシンプルです。
• 均一摩耗
 → 平均的な減肉量から寿命を求める
• 局部摩耗
 → 最大減肉量(最も削れた場所)を基準に寿命を評価

つまり、「どれだけ削れたか(減肉)」が寿命を直接決めるという構造になっています。

摩耗は条件に強く依存する損傷です。

• 接触の有無
• 流速
• 粒子の有無
• 材料の硬さ
といった条件によって、進み方が大きく変わります。
そのため実務では、
• 実機の観察
• 運転条件の把握
が非常に重要になります。