腐食による寿命診断
設備の寿命を左右する大きな要因のひとつが「腐食」です。
クリープが“内部からじわじわ変形していく損傷だとすると、
腐食は『表面から材料が失われていく損傷』と言えます。
腐食とは何か
腐食とは、金属が周囲の環境と反応して性質が変わり、最終的には材料として使えなくなっていく現象です。
基本的には、金属表面で起こる反応です。
- 水や液体と接触して進む「湿食(しっしょく)」
- 高温でガスと反応して進む「乾食(かんしょく)」
の大きく2種類があります。
湿食は水中や湿気中での電気化学反応、
乾食は高温での酸化などの化学反応が主体です。
どちらにしても共通しているのは、『材料表面で起きる反応により、材料が徐々に変質・消耗する』という点です。
腐食の進み方は2つに分類される
腐食の一番重要な分類は、「どのように進むか」です。
大きく分けると次の2つがあります。
① 全面腐食(均一腐食)
材料の表面全体が、ほぼ均一に減っていく腐食です。
たとえば鉄が全体的に錆びて、少しずつ薄くなるような状態です。
この腐食の特徴はシンプルで、
- 腐食速度(mm/year)がほぼ一定
- どこでも同じように減肉する
というものです。
そのため、肉厚がどれくらい減るかを計算すれば寿命が予測できるという、女妙評価的には非常に扱いやすい損傷です。 実際の設計でも「腐食しろ」をあらかじめ見込んでおくことで対応できます。
② 不均一腐食(局部腐食)
一方で問題になるのが、不均一腐食です。
これは、
- 一部だけが集中的に腐食する
- 他の部分はほとんど健全
というタイプの腐食です。
代表例は、
- 孔食(点状に深く進む腐食)
- すきま腐食
- 応力腐食割れ
などです。
この腐食の特徴は、『全体は健全に見えても、一点だけ深く腐食している』 ことです。『カニ穴』のイメージです。
つまり、
- 平均的にはほとんど減っていない
- でも一番深いところは限界に近い
という“非常に厄介な状態”になります。
腐食による寿命評価の考え方
全面腐食の場合は、
平均的に薄くなる → 減肉速度の評価で寿命評価が可能です。
すなわち、強度維持に必要な肉厚に到達するまでの余肉がいつなくなるかで容易に寿命評価できます。
しかし不均一腐食では、
一番深い腐食(最大腐食深さ)が寿命を決める
ことになります。
しかし「最大値」が分からない
ここが難しいポイントです。
実機では、
- 腐食はバラバラに発生する
- 深さも場所によってバラつく
つまり、
「一番深いところ」がどこか分からない
という問題があります。
局部腐食の寿命評価には極値統計を使う
この問題に対して使われるのが、極値統計です。
考え方はシンプルで、
- いろいろな場所で抜き取りで腐食深さを測定する
- そのデータの「ばらつき」を統計的に扱う
- 将来現れる「最大値」を推定する
というものです。
局部腐食では、最大ピット深さ(最も深い腐食)を予測することが重要であり、その評価に極値統計が有効とされています。
