2026年7月16日 カーボンリサイクル技術に関する最新の研究論文が火力原子力発電技術協会誌にアクセプト
2026年3月17日に投稿した共同研究論文が、3回の査読と編集部会の審議を経て、火力原子力発電技術協会誌にアクセプトされました。東京都立大学と電源開発で共同研究したの成果が同誌 2026年9月号にて公開されます。
タイトル:微粉炭火力排ガスを利用したギ酸塩生成プロセスの開発
著者:難波 一夫(電源開発)、出口 光(電源開発)、野本 晃汰(東京都立大学)、天野 史章(東京都立大学)
なぜ、この技術が必要なのか
現在、カーボンリサイクル(CR※)技術の研究は世界中で進められていますが、社会実装が進んでいるものは極めて稀です。その主な原因は、以下の2点にあると考えています。
※CO2を資源としてとらえ、排出源から分離・回収してさまざまな製品や燃料として再利用することで、CO2排出を抑制する取り組み(定義)
① エネルギー収支の逆転(環境負荷の問題)
CO2は熱力学的に極めて安定した物質です。これを有用物質へ転換するには多大なエネルギーが必要となります。ところが、ほとんどのCR技術は、「CO2固定量よりも、そのプロセスを稼働させるためのエネルギー生成に伴うCO2排出量の方が上回る」という矛盾を抱えています。端的に言えば、CO2削減のために行っているはずのCR技術が、定義から逸脱し、むしろCO2排出量を増やしているという「不都合な真実」があるのです。
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② 圧倒的な価格競争力の欠如
例えば、天然ガソリン(既存品)と合成ガソリンの価格差を想像してください。CO2から合成されたガソリンが既存品より5〜10倍も高価であれば、環境意識の極めて高い層を除き、市場で選択されることはありません。補助金に依存しない経済性が、社会実装には不可欠です。
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私たちが提案するRCC(Reactive CO2 Capture)プロセス
本共同研究の立案にあたり、私たちがまず直面したのは、既存のCO2分離回収設備を前提としたシステムでは、熱力学および収支の観点から「カーボンネガティブ」の実現が極めて困難であるという現実です。この課題を克服するため、私たちはRCC(Reactive CO2 Capture:反応吸収)プロセスをベースとした、新しいCR技術の検討に着手しました。
本プロセスは、大量排出源である微粉炭火力発電所の排ガスに対し、CO2の「分離・回収」というエネルギー多消費工程をバイパスする画期的な手法を採用しています。
①ダイレクト吸収と電解転換の一貫プロセス
排ガス中のCO2を直接アルカリ水溶液へ吸収させ、東京都立大学(天野史章教授ら)の高度な電解技術を組み合わせることで、高効率にギ酸塩へと転換します。分離・回収設備を介さないことで、システム全体のエネルギー消費をドラスティックに抑制します。
②直列フローによる追設の容易性
CO2吸収から電解・晶析までを直列フローで構成しました。このコンパクトで合理的な設計により、既存の火力発電所をはじめとする多様な排出源への追設が容易であり、社会実装へのハードルを低減しました。
③「カーボンネガティブ」と「経済性」の両立
本プロセスは、従来のCR技術が抱えていた「CO2固定量より排出量が上回る」という本末転倒な課題を所定の条件下で解決します。あわせて、既存製品と競合できる価格で生成物(ギ酸塩)を供給できる見通しを得ており、補助金に依存しない真の社会実装を目指しています。
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システムの模式図
<東京都立大のベース技術>
Highly selective formate formation
詳細は乞うご期待!!
3回の査読を経てブラッシュアップされたこの論文は、過去に手掛けた論文のうちでもっとも洗練された内容に仕上がったと自負しています。

公開され次第、みなさんに報告させていただきます。
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