381系電車とは
381系電車は、日本国有鉄道(国鉄)が開発・設計した日本初の量産型「振子式(車体傾斜式)」特急形直流電車です。
山岳地帯の多い日本の路線で、急カーブを減速せずに高速で駆け抜けることを目的に開発され、長年にわたり国鉄およびJRの主要な特急列車として活躍しました。
主な特徴
- 自然振子式機構
カーブを曲がる際に発生する遠心力を利用して、車体を内側に傾ける(最大5度)仕組みを採用しています。これにより、カーブでもスピードを落とさずにスムーズな走行が可能になりました。 - 徹底した軽量化と低重心化
振子機構を安定させるため、車体にアルミニウム合金を採用し、床下機器の配置を工夫するなどして低重心化が図られています。 - 独特の乗り心地と「特有の現象」
カーブへの進入・脱出時に車体がグニャッと傾く独特の挙動があり、当時の技術では振子特有の揺れ(ロール)が大きかったため、「乗り物酔いしやすい電車」としても非常に有名でした。
主な運用線区と歴史
1973(昭和48)年に関西と長野を結ぶ中央西線の特急「しなの」でデビューを果たしました。その後、運用線区を広げていきます。
中央西線・篠ノ井線:「しなの」
紀勢本線・阪和線:「くろしお」
伯備線・山陰本線:「やくも」

第三西川橋梁を渡る国鉄色やくも
(2022年10月8日撮影)
北陸本線・福知山線など:「こうのとり」「きのさき」などの代走・臨時列車

こうのとり(2015年5月6日撮影)
国鉄分割民営化後はJR東海とJR西日本に引き継がれ、順次リニューアル工事(「ゆったりやくも」や「スーパーくろしお」など)が行われながら大切に使われました。
引退
老朽化や後継車両(273系や287系など)の導入に伴い各地で引退が進み、最後まで「やくも」として伯備線で定期運行を続けていた編成も、2024年6月15日のラストランをもってすべての定期運用を終了し、42年の歴史に幕を閉じました。
現在は名古屋のリニア・鉄道館などに先頭車が保存されています。

リニア・鉄道館で静態保存されている381系しなの
(2025年12月14日)
Photo Album

山陰デスティネーションキャンペーンに合わせて運転された国鉄色381系による団体臨時列車「なつかしのやくも」。自然振子式の381系やくもが第五日野川橋梁を快走する。車体の傾斜が振子式特急の性能を物語る。
(2012年10月10日撮影)

緑の美しい第三高梁川橋梁をゆく、国鉄色381系「なつかしのやくも」。専用のヘッドマークを掲げ、かつての姿を蘇らせて力強くカーブを曲がる。
(2012年10月11日撮影)

国鉄特急色をまとい第五日野川橋梁をゆく381系「やくも」。自然豊かな沿線の情景と車体のカラーリングが見事に調和
(2022年10月8日撮影)

紫色の「スーパーやくも色」と緑色の組み合わせが目を引く381系混色編成。第五高梁川橋梁川沿いのロケーションが映える。
(2006年8月13日撮影)

国鉄色と緑やくも色の鮮やかなコントラスト。伯備線の美しい曲線美の第三高梁川橋梁をゆく381系のバラエティ豊かな9連混色編成
(2010年1月2日撮影)

深い緑に包まれた第三高梁川橋梁のカーブを行く381系「緑やくも」。豊かな自然の風景の中を増結9連で力強く走り抜ける第三高梁川橋梁を増結9連で渡る。
(2010年8月15日撮影)

深い緑に包まれた第三高梁川橋梁のカーブを行く381系「緑やくも」。新見以南では珍しい雪景色
(2010年12月30日撮影)

雪のカーブを行く381系「緑やくも」
(2010年12月29日撮影)

第七高梁川橋梁を渡るゆったりやくも。車体色は、グレーの車体に「やくも」の沿線である山陰・伯備線の自然をイメージさせる赤・黄・緑のアクセントラインが入った爽やかなデザインへと変更
(2014年12月31日撮影)

第五日野川橋梁を渡るゆったりやくも
(2022年10月8日撮影)
ゆったりやくもは2006(平成18)年頃から順次導入され、2024年6月に381系が完全に引退するまで、長年にわたり活躍

カーブに合わせて車体をダイナミックに傾けて走る381系「ゆったりやくも」
(2010年8月13日撮影)

色づく紅葉と見事な黄葉のイチョウを背に第三西川橋梁にさしかかる381系「ゆったりやくも」
(2011年11月6日撮影)

雪化粧した家々と白銀の田園風景の中をゆく381系「ゆったりやくも」。冬の伯備線ならではの澄んだ空気感と美しいコントラストが広がる
(2013年12月30日撮影)

第五日野川橋梁を渡るゆったりやくも
(2011年8月12日撮影)
381系「ゆったりやくも」のパノラマ編成(クロ380形)の先頭車。通常のクハ381形とは異なり、前面展望を楽しめる大きなガラス張りのパノラマグリーン車になっており、「やくも」の歴史やバラエティ豊かな381系の中でも非常に人気が高かった名車

白銀に染まる伯備線の第五日野川橋梁。前面展望が魅力のパノラマグリーン車を先頭に、雪煙を上げて力強く駆け抜ける381系「ゆったりやくも」。冬ならではの厳かで美しい一コマ
(2015年1月2日撮影)
山あいを駆け抜ける国鉄特急色のこうのとり。初秋の花が彩る中、静かにカーブへ進む。
(2015年5月6日)
国鉄特急色のこうのとりが山あいを静かに駆け抜ける。緑の中に映える往年の特急の姿
(2014年5月11日)
深い緑に包まれた山里を走るこうのとり。かつての特急の旅情がよみがえる瞬間
(2015年8月15日)
<撮影者情報>
難波一夫
IHI/石川島播磨重工業 出身 の重工系技術士(金属部門)
中小企業診断士・労働安全コンサルタント・エネルギー管理士資格を保有
材料から設備を診る! 技術経営コンサルタント
